摂食障害(過食症・拒食症・過食嘔吐・チューイング・下剤乱用)相談
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妊娠を望む摂食障害の方へ

1.妊娠で摂食障害悪化の危険

今、摂食障害の症状に苦しんでいる方は、
『子供を授かれば止められる。』
『妊娠すれば治る。』そんな風に考えたことはありませんか。
妊娠は過食嘔吐の治療になりません。

 妊娠をきっかけに、症状が和らいだり止まったりする方もいます。
そして、症状が変わらなかったり、悪化する方もいます。
妊娠するまで症状が無かったのに、つわり(妊娠悪阻)がきっかけとなって、過食嘔吐を発症する方もいます。

 愛するパートナーの子供を授かるということは、素晴らしいことです。
しかし、妊娠に伴う環境の変化や体型の変化は、多くの摂食障害の女性にとって多大なストレスとなります。産休までは、といつも以上に仕事を頑張ってしまう、太りたくないのに生理的に体重は増えていくし体型も変わっていく、そういったストレスから過食や過食嘔吐をし、症状が出たことで自分を責める、それもストレスとなる、悪循環です。
子供を授かった喜びが強いほど、過食嘔吐してしまったときの罪悪感は強くなるのではないでしょうか・・・。

 本来、食べたい時に食べたいものを食べる、お腹いっぱいになったら終わりにする、という自然な食行動によって、人間の身体は必要な栄養素を摂取しています。妊娠している状態でも、それは当てはまるでしょう。
しかし、摂食障害の女性の多くは、『満腹が分からない。』『何が食べたいか、ではなく、太らないものを食べる。』など、自然な食行動というものが良くわかりません。そのような状態で妊娠した場合、食べるという行為でさえも、大きなストレスとなる可能性があります。

2.妊娠による体の変化と嘔吐

 妊娠すると女性の身体は変化します。
広く知られているのは、妊娠初期の『つわり』でしょう。
『つわり』は過食嘔吐の引き金となることがあります。また、妊娠時のホルモンの作用や大きくなる子宮の圧迫により、食物が胃に長くとどまるようになったり、胃食道逆流が起こりやすくなったりするので、これも過食嘔吐を助長します。

 妊娠中、赤ちゃんは大きくなりますし、お母さんと赤ちゃんをつなぐ胎盤も大きくなります。
赤ちゃんを守るためにお母さん自身にも脂肪の蓄えが増えます。

このように、妊娠女性がお産に至るまでに「ちょうどよい」体重増加というものがあります。
過食嘔吐のある女性が妊娠した場合、妊娠時の体重増加が多すぎるケース、少なすぎるケース、いずれの可能性も考えられます。
妊娠時の体重増加が多すぎると、妊娠高血圧や妊娠中毒症のリスクとなりますし、難産につながることもあります。
妊娠中毒症は重症となるとけいれん発作(子癇症)を起こすこともあります。かといって、過食による体重の増えすぎを防ぐために、過食した分を嘔吐するのでは、お母さんにとってもお腹の子どもにとっても良い状態とは言えません。

一方で、妊娠時の体重増加が少なすぎると、子どもの出生体重も少なくなります。
出生体重の少ない子どもは、低血糖という身体のエネルギー不足に陥りやすいと言われています。
生後すぐの低血糖は脳の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。

3.未熟児のリスク

 摂食障害のお母さんから生まれてくる子どもについては、在胎37週未満で生まれてくる早産の子ども、2500g未満の出生体重の少ない子どもや、発達に遅れや問題のある子どもの報告があります。

 妊婦さんの精神的ストレスは早産のリスク因子とも言われています。
妊娠中に摂食障害の症状がある方のストレスは計り知れません。
また、嘔吐することで赤ちゃんのいる子宮が圧迫され、早産を助長する可能性があります。
早産で生まれる赤ちゃんは身体の成熟が十分ではないために、呼吸障害となったり、低血糖という身体のエネルギー不足に陥りやすいと言われています。

 子どもがお腹の中にいるときのお母さんの栄養状態が悪いことが、子どもの将来の病気(高血圧や糖尿病など)と深く関係しているという学説もあります(バーカー説)。
妊娠前から普通食も嘔吐してしまうような、慢性的に低栄養の状態にある方が妊娠した場合や、体重管理を厳しくしすぎて妊娠中の体重増加が不十分である場合など、生まれてくる子どもにとって後々までの不利益となることもあるのです。

4.避妊のすすめ

 やせに伴う無月経があっても、女性の身体は排卵している場合があり、状況によっては妊娠する可能性があります。
 無月経であっても、子供を望まない場合は避妊が必要です。

171026h